英語学習をしていると、「意味はなんとなくわかるけど、どっちの単語を使えばいいのか迷う……」という場面に出くわすことがありますよね。
特にやっかいなのが、語尾や見た目がそっくりな単語同士。
たとえば「malign」と「malignant」。どちらも「悪そう」な雰囲気ですが、実際には使われる場面も文法もまったく違います。
この記事では、そんな「見た目は似ているけど意味や使い方が異なる英語の類義語ペア」を厳選してご紹介します。
それぞれの違いを、
- 意味の違い
- よく使われるコロケーション(語の組み合わせ)
- 冠詞(a / the / 無冠詞)の使い方(意外と冠詞の使い方の特徴で覚えられるかも)
といった観点から整理しています。
「語感の違い」まで理解したい中級〜上級の英語学習者の方に、ぜひ活用していただきたい内容です。
malign / malignant
意味はどちらも「悪意」「有害」——でも使い方が全然違う!
「malign」と「malignant」は、見た目も意味もよく似た単語ですが、使われる文脈と文法的な役割がまったく異なります。
意味と使い方の違い
単語 | 品詞 | 意味 | 主な使われ方 |
---|---|---|---|
malign | 形容詞/動詞 | 有害な、中傷する | 政治・評論・宗教・文学などの文語的な表現 |
malignant | 形容詞 | 悪性の、悪意ある | 医学(特に「悪性腫瘍」)、あるいは比喩的表現 |
- malign は、「意図的に中傷する」「悪意を持って害を与える」といった文脈で使われ、評論文やニュース、スピーチなどでよく登場します。
- malignant は、医学用語(悪性腫瘍)として最も多く使われますが、比喩的に「根深く、制御不能な悪」を表すときにも使われます。
よく使われるコロケーションと例文
▶︎ malign
- a malign intent(悪意のある意図)
The journalist exposed a malign intent behind the policy. - a malign influence(有害な影響)
He was considered a malign influence on the younger members.
▶︎ malignant
- a malignant tumor(悪性腫瘍)
The patient was diagnosed with a malignant tumor in the lung. - malignant cells(悪性細胞)
The biopsy revealed the presence of malignant cells.
冠詞のポイント
フレーズ | 解説 |
---|---|
a malign intent | 「intent」は可算名詞なので a が必要。単数の“意図”を表すときに使う。 |
a malignant tumor | 「tumor」も可算名詞なので a が必要。定冠詞「the」を使うときは既出の腫瘍に限定される。 |
malignant cells | 「cells」は可算名詞の複数形なので、無冠詞が自然。 |
a malign influence | 「influence」は可算にも不可算にもなるが、この場合は具体的な“影響源”としての a。 |
ひとことまとめ
「malign」は中傷的で知的な批判語。
「malignant」は医学用語として定着している“悪性”の代名詞。
どちらも「悪そう」に見えますが、文体・分野・語感がまったく異なるので、しっかり使い分けたいですね。
economic / economical
経済? 節約? 見た目は似てるけど意味は大違い!
「economic」と「economical」は語源も似ていて、見た目もそっくり。
でも実際は、使われる文脈も意味もまったく別物です。
意味と使い方の違い
単語 | 品詞 | 意味 | 主な使われ方 |
---|---|---|---|
economic | 形容詞 | 経済に関する | 経済学、国の経済状況、政策、ニュース記事など |
economical | 形容詞 | 節約的、コスト効率が良い | 日常生活、製品、ライフスタイルに関する文脈 |
- economic は、「経済成長」「経済政策」など、マクロ経済や経済学的観点で使われます。
- economical は、「燃費が良い」「節約になる」といった意味で、消費者目線の実用的な使い方をします。
よく使われるコロケーションと例文
▶︎ economic
- economic growth(経済成長)
The country has enjoyed steady economic growth over the past decade. - economic policy(経済政策)
The new government introduced bold economic policies to combat inflation.
▶︎ economical
- an economical car(燃費の良い車)
This hybrid model is one of the most economical cars on the market. - an economical lifestyle(節約志向の生活)
After retiring, they adopted a more economical lifestyle.
冠詞のポイント
フレーズ | 解説 |
---|---|
economic growth | 「growth」は不可算名詞 → 冠詞なしが自然(ただし限定すれば「the」も可)。 |
economic policy | 「policy」は可算名詞 → 冠詞が必要(例:an economic policy / the economic policy)。 |
an economical car | 「car」は可算名詞 → an が必要(母音で始まる語なので “an”)。 |
an economical lifestyle | 「lifestyle」も可算名詞 → an が必要。 |
ひとことまとめ
economic は「経済」に関する専門的な文脈、
economical は「節約・効率」に関する実生活の文脈で使われます。
つまり、「燃費のいい車」は economical car、「国の経済成長」は economic growth。
語感も使い道も違うので、どちらを使うか迷わないようにしたいですね。
historic / historical
どちらも「歴史的」だけど、“歴史に残る”と“歴史に関係する”では大違い!
「historic」と「historical」は見た目がほぼ同じで、意味も辞書では「歴史的」と訳されがち。
でも実際は、使われる場面やニュアンスに大きな違いがあります。
意味と使い方の違い
単語 | 品詞 | 意味 | 主な使われ方 |
---|---|---|---|
historic | 形容詞 | 歴史に残るほど重要な | 重大な出来事、記念すべき瞬間、偉業など |
historical | 形容詞 | 歴史に関係する | 歴史研究、文献、過去の出来事の記述など |
- historic は、後世に語り継がれるような“決定的な瞬間”を指すときに使います。
例:a historic speech(歴史に残る演説) - historical は、「過去に関連する・歴史と関係のある」事物を指す、より客観的で中立的な表現です。
例:historical documents(歴史資料)
よく使われるコロケーションと例文
▶︎ historic
- a historic moment(歴史的瞬間)
The signing of the treaty was a historic moment in world politics. - a historic speech(記憶に残る演説)
The president gave a historic speech that changed public sentiment.
▶︎ historical
- historical documents(歴史的資料)
Researchers analyzed historical documents from the 17th century. - historical context(歴史的背景)
Understanding the historical context is crucial for interpreting this novel.
冠詞のポイント
フレーズ | 解説 |
---|---|
a historic moment / speech | 「moment」「speech」はどちらも可算名詞 → a が必要。特定の重大な出来事を1つ指す。 |
historical documents | 「documents」は複数形の可算名詞 → 無冠詞で使うのが自然(必要に応じて the も可)。 |
historical context | 「context」は不可算名詞 or 単数可算名詞 → 一般的な話なら無冠詞、特定の場合は「the」。 |
ひとことまとめ
historic は「記念碑的」「歴史を動かす」
historical は「歴史に関連する」「過去に関する」
たとえば、「歴史に残る試合」は a historic match、
「歴史に基づいた小説」は a historical novel。
使い分けを間違えると、誤解や違和感のある表現になってしまうので要注意です。
politic / political
「政治的」と訳せばどっちも正解? 実は意味も使い方も大きく違います。
「politic」と「political」は、どちらも語源的には「政治(politics)」から来ており、見た目もそっくり。
ですが、意味・語調・使用頻度に明確な違いがあります。
意味と使い方の違い
単語 | 品詞 | 意味 | 主な使われ方 |
---|---|---|---|
politic | 形容詞 | 賢明な、思慮深い(特に人間関係や判断において) | フォーマル・文語・外交的判断など |
political | 形容詞 | 政治に関する | 日常語・ニュース・制度・政党など広範囲 |
- politic は「思慮深く、状況をうまく立ち回る賢さ」を意味し、やや文語・古風な響きがあります。
例:a politic move(賢明な手段) - political は「政治に関する」という意味で、政策、政党、選挙、思想など、非常に幅広い文脈で使われる日常語です。
よく使われるコロケーションと例文
▶︎ politic
- a politic move(賢明な一手)
It was a politic move to delay the announcement until after the vote. - a politic response(思慮深い対応)
He gave a politic response that avoided direct criticism.
▶︎ political
- a political party(政党)
She belongs to a political party that advocates environmental reform. - political power(政治権力)
The revolution shifted political power from the elite to the people.
冠詞のポイント
フレーズ | 解説 |
---|---|
a politic move / response | 「move」「response」はどちらも可算名詞 → a が必要。特定の行動や返答を1つ指す。 |
a political party | 「party」は可算名詞 → 通常は「a」または「the」がつく。複数形なら無冠詞でOK。 |
political power | 「power」は不可算名詞として使われることが多い → 無冠詞が自然。特定するなら「the」。 |
ひとことまとめ
politic は「賢明で慎重な判断」のこと。フォーマルでやや古風な響き。
political は「政治に関係する」日常語。制度や思想、行動全般に広く使われる。
たとえば、「賢明な対応をした」は a politic response、
「政治的な主張をする人」は a political activist。
意味が似ていても、語感と場面がまったく異なるので、文脈に合った選択が大切です。
classic / classical
どちらも「古くて価値がある」けど、“定番”と“古典”は違うんです。
「classic」と「classical」はどちらも「古くて価値のあるもの」に関連する単語ですが、実は意味の焦点も使われる場面も異なります。
意味と使い方の違い
単語 | 品詞 | 意味 | 主な使われ方 |
---|---|---|---|
classic | 形容詞/名詞 | 定番の、名作の、模範的な | 小説、映画、名言、例など |
classical | 形容詞 | 古典的な、伝統的な | 音楽、建築、学問、ギリシャ・ローマ文化など |
- classic は、「今でも価値があり、模範とされる作品・事例・言葉」などに使われます。
例:a classic novel(名作小説) - classical は、「古代ギリシャ・ローマの伝統に基づく古典的な様式」や、「伝統的な芸術・音楽・学問」などを指します。
例:classical music(クラシック音楽)
よく使われるコロケーションと例文
▶︎ classic
- a classic novel(名作小説)
“To Kill a Mockingbird” is considered a classic novel in American literature. - a classic example(典型例)
This is a classic example of overengineering.
▶︎ classical
- classical music(クラシック音楽)
He prefers classical music to pop. - classical architecture(古典建築)
The building features elements of classical architecture.
冠詞のポイント
フレーズ | 解説 |
---|---|
a classic novel / example | 「novel」「example」は可算名詞 → a が必要。どちらも1つの具体的な対象を指す。 |
classical music / architecture | どちらも不可算名詞 → 通常は無冠詞で使う。限定したいときは「the」も可。 |
ひとことまとめ
classic は「今でも評価される定番・名作」
classical は「歴史的伝統に基づく古典様式」
たとえば、「名作映画」は a classic film、
「クラシック音楽」は classical music。
同じ“古い価値”を表していても、どこに価値を置いているかが全く違うんですね。
childish / childlike
どちらも「子どもっぽい」——でも、褒め言葉になるのはどっち?
「childish」と「childlike」は、どちらも「子ども」を連想させる形容詞ですが、意味のニュアンスは正反対。
使い方を間違えると、意図せず相手をけなしてしまうこともあるので要注意です。
意味と使い方の違い
単語 | 品詞 | 意味 | 主な使われ方 |
---|---|---|---|
childish | 形容詞 | 幼稚な、未熟な(ネガティブ) | 怒り方、言動、議論など |
childlike | 形容詞 | 無邪気な、純真な(ポジティブ) | 感情、驚き、好奇心など |
- childish は「大人として未熟、感情的で理性に欠ける」ことを表すネガティブな語。
- childlike は「純粋で素直、無垢な魅力がある」ことを表すポジティブな語です。
よく使われるコロケーションと例文
▶︎ childish
- childish behavior(幼稚なふるまい)
His childish behavior embarrassed everyone at the meeting. - a childish argument(くだらない言い争い)
They had a childish argument over who gets the last cookie.
▶︎ childlike
- childlike wonder(子どものような驚き)
She looked at the stars with childlike wonder. - childlike innocence(純真さ)
He spoke with a childlike innocence that was disarming.
冠詞のポイント
フレーズ | 解説 |
---|---|
childish behavior | 「behavior」は不可算名詞 → 通常は無冠詞でOK(the や such を付けることも可)。 |
a childish argument | 「argument」は可算名詞 → a が必要。1つの言い争いを指す。 |
childlike wonder / innocence | どちらも不可算名詞 → 無冠詞で自然(限定するときは the も可)。 |
ひとことまとめ
childish は「ネガティブ」な子どもっぽさ。
childlike は「ポジティブ」な純粋さ。
たとえば、「子どもみたいに怒るな」は Don’t be so childish.、
「子どものような好奇心を持ち続けたい」は I want to keep my childlike curiosity.
同じ“子どもらしさ”でも、相手に与える印象が真逆になる面白いペアです。
sensual / sensuous
“官能的”には二通りある——欲望を刺激するか、美を味わうか。
「sensual」と「sensuous」はどちらも「感覚」に関わる言葉ですが、
刺激する対象や含まれるニュアンスに違いがあります。
意味と使い方の違い
単語 | 品詞 | 意味 | 主な使われ方 |
---|---|---|---|
sensual | 形容詞 | 官能的な、肉体的快楽に関する | 肉体的欲望、性的な魅力、刺激的な行動など |
sensuous | 形容詞 | 感覚的な、美を喜ばせる | 美術、音楽、自然、食べ物などの美的体験 |
- sensual は「欲望・本能を刺激する」強い感覚に関連し、しばしば性的な文脈を持ちます。
- sensuous は「視覚・聴覚・触覚などの美しい感覚」に焦点を当てた、中立~ポジティブな語調です。
よく使われるコロケーションと例文
▶︎ sensual
- sensual pleasure(肉体的快楽)
The novel was filled with descriptions of sensual pleasure. - sensual lips(官能的な唇)
The advertisement featured a model with full, sensual lips.
▶︎ sensuous
- sensuous beauty(感覚的な美)
The painting captures the sensuous beauty of the human form. - sensuous textures(心地よい触感)
The designer used sensuous textures like silk and velvet.
冠詞のポイント
フレーズ | 解説 |
---|---|
sensual pleasure | 「pleasure」は不可算名詞 → 通常は無冠詞、限定する場合は「the」「a kind of」など。 |
sensual lips | 「lips」は複数形の可算名詞 → 通常は無冠詞(ただし特定時は「the」も可)。 |
sensuous beauty / textures | 「beauty」は不可算、「textures」は可算の複数形 → 基本は無冠詞で使用される。 |
ひとことまとめ
sensual は「本能・快楽・欲望」を刺激する。
sensuous は「美しさ・感覚の心地よさ」を味わう。
たとえば、「官能的な魅力のある俳優」は a sensual actor、
「官能的な音楽体験」は a sensuous musical experience。
似ているようで、快楽の“種類”がまったく異なるのがこのペアの特徴です。
momentary / momentous
“瞬間的”と“重大な”——時間は短いのに、意味は重い?
「momentary」と「momentous」は、どちらも「moment(瞬間)」という語源を持ちながら、
意味は正反対ともいえるほど違います。
英語学習者には混乱しやすい組み合わせです。
意味と使い方の違い
単語 | 品詞 | 意味 | 主な使われ方 |
---|---|---|---|
momentary | 形容詞 | 一瞬の、つかの間の | 停止、感情、沈黙、混乱など短い出来事 |
momentous | 形容詞 | 重大な、非常に重要な | 決断、出来事、発表、変化など歴史的・人生的な転機 |
- momentary は「時間的にごく短いこと」を表し、軽く・一過性のあるものに使います。
- momentous は「重大で将来に大きく影響すること」を意味し、深刻で歴史的な意義を持つ文脈で使われます。
よく使われるコロケーションと例文
▶︎ momentary
- a momentary pause(一瞬の間)
There was a momentary pause before the audience erupted in applause. - a momentary lapse(一瞬の過ち)
His mistake was due to a momentary lapse in concentration.
▶︎ momentous
- a momentous decision(重大な決断)
She made the momentous decision to move abroad alone. - a momentous occasion(歴史的な出来事)
The inauguration was a momentous occasion for the nation.
冠詞のポイント
フレーズ | 解説 |
---|---|
a momentary pause / lapse | 「pause」「lapse」は可算名詞 → a が必要。1つの短い動作や失敗を指す。 |
a momentous decision / occasion | 「decision」「occasion」も可算名詞 → a が必要。1回限りの特別なイベントを強調。 |
ひとことまとめ
momentary は「一瞬の軽さ」
momentous は「人生・歴史を動かす重さ」
たとえば、「一瞬の沈黙」は a momentary silence、
「歴史的決断」は a momentous decision。
語源は同じでも、“軽い” vs “重い” の真逆の意味を持つのがこのペアの面白さです。
まとめ:見た目に惑わされず、言葉の本質に目を向けよう
英語を学んでいると、「意味は知っているけど、どっちを使えばいいのか迷う」という場面にたくさん出会います。
今回紹介したような、見た目がよく似ているけれど、意味や使い方が大きく異なる単語たちは、その最たる例です。
- malign / malignant のように、意味が近くても文脈が異なる
- classic / classical のように、文化的背景で分かれる
- childish / childlike のように、感情のトーンがまったく逆
こうしたペアをじっくり観察していくと、単語の背景や使われ方に対する感度が高まり、
単なる暗記ではない“語感の理解”につながっていきます。
いろいろな属性で探せる単語検索、試してみませんか?
当ブログでは、こうした違いを体系的に学べるように、品詞・意味・感情・文脈・頻度・ジャンルなど
さまざまな「属性」をつけて単語を整理しています。
▶︎ 気になる単語の コロケーション をすぐに知りたい
▶︎ 「医療でよく使われる形容詞」だけを探したい
▶︎ 「文学で出てくる抽象名詞」だけを集めたい
そんなときに役立つのが、属性付きの絞込検索機能です。
英語学習を、もっと深く、もっと面白く。
Comments