スラッシュリーディングは意味ない?本当の使い方と卒業のステップ

「スラッシュリーディングは意味ないのでは?」
スラッシュリーディングが「意味ない」と感じる理由の一つに、英文を読む時間よりも、スラッシュを入れる作業に時間が取られてしまうという点があると思います。確かに、スラッシュを入れること自体が目的化してしまうと、本来の「英文を速く正確に理解する」という目的から外れてしまいかねません。

しかし、私はスラッシュリーディングにはしっかり効果があると考えています。むしろ、英語に慣れてきた人でも、さらには私たちが日本語を読むときでさえ、実は無意識にスラッシュを入れながら意味のかたまりごとに理解しています。

要は、スラッシュを入れること自体が悪いのではなく、それを「頭の中で無意識にできるレベル」にまで高めていくことが大切なのです。

この記事では、

  • スラッシュリーディングが意味ないと言われる理由
  • レベル別の正しい使い方
  • 最終的に「頭の中でスラッシュを感じられる状態」を目指すステップ

を、具体例を交えながらわかりやすく解説します。スラッシュリーディングを「卒業するためにどう使うべきか」を知り、英語長文をスムーズに読めるようになるヒントをぜひ持ち帰ってください。

Table of Contents

スラッシュリーディングが意味ないと言われる理由

スラッシュリーディングは英文を意味のかたまり(チャンク)ごとにスラッシュ(/)で区切って読む方法です。
長文を読む際、主語・動詞・目的語などの構造を意識できるメリットがありますが、次の理由で「意味ない」と言われることがあります。

スラッシュを入れすぎて読む速度が落ちる

単語ごとにスラッシュを入れてしまうと、例えば以下のようになります。

The / book / that / the / teacher / who / won / the / award / recommended / last / week / was / about / the / history / of / the / city.

このように区切りすぎてしまうと、スラッシュリーディングが「英文を理解する練習」ではなく、スラッシュを入れること自体が目的化した“作業”になってしまうのです。

結果として、英文を意味のかたまりで捉えることができず、読むスピードも上がりません。上の例は極端なケースですが、特に自分の理解度以上に細かくスラッシュを入れてしまうと、「スラッシュリーディングは意味がない」と感じるようになってしまいます。

大切なのは、スラッシュの量を増やすことではなく、自分の理解度に合わせて適切な位置でスラッシュを入れ、意味のかたまりで英文を読む感覚を養うことです。

英語の語順で理解できなくなる

スラッシュで細かく区切りすぎると、日本語訳のように単語を順番に追うだけの読み方になってしまい、英語の語順で理解する力が育ちにくくなります

これは、スラッシュを入れること自体に意識が向きすぎていることが大きな要因だと私は思います。本来、スラッシュリーディングは英文を意味のかたまりで理解するための補助ツールであり、英文を読むこと自体が目的であるはずです。

大切なのは、「スラッシュを入れること」ではなく、英文としての流れを感じながら、自然に意味の切れ目にスラッシュを入れる意識を持つことです。この意識を持つだけで、スラッシュリーディングは「意味ない」どころか、長文を速く正確に理解するための力強い味方になります。

実際の試験や実務では使えない

スラッシュを入れてから読んでいる時間は、TOEICや学校の試験、本番の英文資料を読む場面では取れません。「スラッシュを入れないと読めない状態」のままでは、実践で使える読解力が身につかないのです。

これは、スラッシュを入れるという作業をまだ無意識のレベルにまで落とし込めていないことが原因だと私は考えています。

大事なのは「スラッシュを入れないと読めない」状態から脱却し、どこで意味が切れるのかを自然に感じ取れるようになることです。つまり、スラッシュを入れる意識を持つ段階から、それを徐々に無意識化し、英文の流れで理解できるようになることが重要なのです。


スラッシュリーディングは使い方次第で意味がある

「スラッシュリーディング=意味ない」というわけではありません。正しく使えば、スラッシュリーディングは英文をスムーズに読めるようになるための強力なツールになります。

ただし、使い方を間違えると「意味ない」と感じてしまうだけなのです。

  • 英文構造を理解する補助ツールとして使えば効果的
  • スラッシュを入れすぎないことが重要
  • レベルによってスラッシュの入れ方を変える

この3つを意識することが、スラッシュリーディングを活かす上で大切なポイントです。


レベル別:スラッシュリーディングの正しい使い方

初心者:使ってOK。ただし「意味のかたまり」で区切る

文法や英文構造の理解がまだ不安な段階では、スラッシュを使って読む練習を積むことは大いに役立ちます。
ただし大切なのは、単語ごとに区切るのではなく、意味のかたまりごとにスラッシュを入れることです。

例えば以下のように区切ります。

The book / that the teacher who won the award / recommended last week / was about the history of the city.

長い主語ブロックと述語ブロックを分けるだけで、文構造がはっきりし、読解がぐっと楽になります。


中級者:スラッシュを最小限に絞る

英語長文をある程度読めるようになってきたら、スラッシュの数は減らし、大きな意味の塊だけを目印にスラッシュを入れる練習に移行しましょう。

具体的には:

  • 長めの主語ブロック
  • 動詞以降の主要な情報
  • 必要に応じて長い修飾節

に絞ってスラッシュを入れ、文章全体の構造をざっくり把握できるようにするのがポイントです。

同じ例文を使うと以下のようにします。

The book that the teacher who won the award recommended last week / was about the history of the city.

この使い方で、「どこからどこまでが主語なのか」「どこが動詞で、どこから情報が続いているのか」を把握する感覚を養います。


上級者:頭の中でスラッシュを感じる

最終目標は、スラッシュを書かずに英文をそのまま理解できる状態になることです。

英文を読んでいるときに、以下のように頭の中で自然に意味の切れ目を感じ取れるようになるのが理想です。

例えば同じ例文の場合:

  • 主語:The book that the teacher who won the award recommended last week
  • 動詞:was
  • 補足情報:about the history of the city

このように「ここで意味が切れるな」という感覚を持ちながら読むことができれば、速読力・読解力は格段に上がります。TOEICや実務の英文読解でも役立つ“実用的なリーディング力”へとつながっていきます。


上で述べたレベル別のスラッシュの入れ方は、一見すると「どこにでもある説明」に思えるかもしれません。ですが、ここで重要なのは、スラッシュリーディングの最終目標が「無意識のレベルにまで持っていくこと」だという点を常に念頭に置くことです。

例えば初心者の場合でも、意味のかたまりで考えたときに 「ここはスラッシュを入れなくても理解できる」と思える箇所があれば、無理に入れる必要はありません。 スラッシュを入れること自体が目的ではなく、英文を英文のまま理解するための補助であることを忘れないようにすることが大切です。

そして中級者・上級者へと進むにつれて、どのように英文の流れを感じ取り、どのようにスラッシュを減らしながら英文の構造を把握していくのか。その意識の変化・考え方の移行をぜひ感じ取っていただければ嬉しいです。


頭の中でスラッシュを感じられるようになるための練習法

音読・シャドーイング

音読やシャドーイングの良いところは、英文の抑揚や緩急を自然に感じ取れる点にあります。実はこの抑揚や緩急は、スラッシュを入れることと似たような効果があり、意味の区切りを体感しながら読む感覚を養うことができるのです。

意味のかたまりごとにポーズを置きながら音読をすることで、どこで区切るべきかが自然とわかるようになります。これにより、ただスラッシュを入れて読むだけでなく、英文の流れをそのまま捉えながら理解する力を高めることができます。

簡単な英文ニュースを毎日読む

英文は一文が長くなることが多く、正確に説明するために接続詞や関係詞が多用されるため、普段よりスラッシュが必要な場面が増えがちです

NHK WORLDやVOAなどの短めの記事を使い、区切りを意識しながら毎日読む習慣をつけると効果的です。これにより、自然な文の流れの中でどこにスラッシュを入れるべきか、どのように意味のかたまりで理解するかを体感しながら練習することができます。

英語の語順で理解するトレーニング

スラッシュを入れる練習をしていると、どうしても日本語訳のように一つ一つの意味を追う読み方になりがちです。そのため、補強の意味で 英語の語順で理解するトレーニングを取り入れることをおすすめします。

和訳を挟まずに、意味のかたまりごとに理解する練習を続けていくと、スラッシュを入れなくても頭の中で自然に区切りを感じ取れるようになります。

これができるようになると、英文を読みながら日本語に直す時間が省けるようになり、長文を速く、そして正確に理解できるようになっていきます。


スラッシュリーディングの効果を最大化するコツ

  • スラッシュは「理解の補助ツール」として使う
  • 使う量は減らし、意味の塊だけに留める
  • 英語の語順で理解する習慣をつける
  • 使わなくても読める状態を目指す

この流れでスラッシュリーディングを使うことで、「意味ない」どころか、英語長文読解力を確実に伸ばせます。


まとめ:スラッシュリーディングは無意識化を目指すことがゴール

スラッシュリーディングは「意味ない」のではなく、使い方次第で効果が大きく変わるツールです。

  • スラッシュを入れすぎると、単語を追うだけの和訳的な読み方になり、英語の語順で理解できなくなる
  • スラッシュを入れる作業が目的化してしまうと、試験や実務で使える読解力は身につかない
  • 大切なのは「英文を意味のかたまりごとに捉える意識を養うため」に使うこと

初心者のうちは補助ツールとして使いながら、必要のない部分にはスラッシュを入れない勇気を持つことも重要です。
中級者・上級者へ進むにつれてスラッシュの数を減らし、最終的には頭の中で自然にスラッシュを感じられる状態を目指すことがゴールです。

音読・シャドーイング、英文ニュースの多読、英語の語順で理解する練習を組み合わせながら、少しずつ「スラッシュを使わずに読める力」を育てていきましょう。

スラッシュリーディングを卒業できる頃には、英文がスラスラ読める感覚が手に入り、長文への抵抗感も確実に減っているはずです。で、TOEICや英検の長文問題、海外ニュースの読解などあらゆる場面で「速く・正確に」読める力がつきます。

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