「30代から英語を始めるのは遅い」と感じるのは自然なことです。でも、それは10代でも20代でも同じだと思います。抱えている事情や課題が違うだけで、どのタイミングでも「もっと早く始めていれば」と思うものだからです。
たとえば、うちの長男は10歳でアメリカの学校に転校しましたが、現地での英語学習には相当苦労しています。「もう少し早く来ていたら楽だったのかな」と感じることもあります。おそらく20代で学び始めた人も、「大学時代からもっと時間を取って勉強していれば」と思うことがあるでしょう。結局、英語に限らず学び始めるのはいつだって「遅い」と感じるものなのです。
ただ、一方で30代には30代の強みがあることも確かです。それは、仕事を通じて身につけてきたビジネススキルの成熟です。20代の頃は目の前の業務をこなすのに必死で、仕事の目標設定やタスク分解、計画実行のスキルはまだ確立していないことが多いものです。でも30代になると後輩を育てる立場になり、業務目標を立てて達成するプロセスが当たり前になっています。
このスキルは、時間が限られた中で英語を学ぶ上で大きな武器になります。限られた隙間時間の中で何を学ぶかを決め、優先順位をつけて、一つずつ着実に積み上げていく。こうした進め方は30代だからこそ自然にできる学び方です。
30代こそ“割り切った勉強法”を確立させよう
30代は時間も体力も有限です。
20代の頃のように「とりあえず時間をかければなんとかなる」という学習スタイルでは、思ったように成果が出ず、挫折してしまうことが多いと感じています。
だからこそ、勉強方法に“割り切り”が必要です。
仕事でも、大きな目標を立てつつ、
- リソースは十分か
- 期日はいつまでか
- どうタスクに落とし込むか
を考えて実現可能性のある計画に落とし込むのは当たり前だと思います。
英語学習もこれと同じだと思います。
完璧な発音は目指さない
まず大前提として、あなたが今イメージしている“完璧な発音”は、現実的には不可能です。有名な英語系インフルエンサーで発音が綺麗な方もいますが、それは彼らがその発音に多くの時間を割いてきたからこそです。
私自身、ニューヨークで働いていますが、現地にはノンネイティブも多く、発音にクセがある人もたくさんいます。でも、それで困ることはほとんどありません。大切なのは、
- どの音をしっかり発音しないと伝わらないのか
- どこは力を抜いても大丈夫なのか
この“伝わる発音のポイント”を理解することです。
文法は必要最低限に絞る
文法を気にしすぎると、話せなくなります。
日本語でも、感情が前に出ると文法が多少崩れることがありますよね。それでも会話は成り立ちますし、むしろその方が自然な場合もあります。
英語も同じで、まずは重要なキーワードを先に言ってしまい、その後に補足する。この話し方は、完璧な文法をマスターしてからでないとできないわけではなく、むしろ実践的なコミュニケーションの基本です。
使う場面に合わせた表現と単語だけ覚える
30代からの英語学習で重要なのは、使うシチュエーションを徹底的に絞ることです。
あれもこれもと学ぼうとすると、結局どれも中途半端になり、スキルアップが難しくなってしまいます。
例えば、
- ミーティングでのディスカッション
- プレゼンテーション
- スモールトーク
といったシーンを小分割し、それぞれで使う英語だけを集中的にマスターする。
この“絞り込み”を繰り返していくことで、頭の中に実践的な英語ストックが増え、少しずつ“使える英語”が積み上がっていきます。
これは、子どものように自然に言葉を覚えるやり方とは違う、大人だからこそできる戦略的な学び方だと思います。
長時間学習ではなく、毎日15分だけでも続ける
30代は時間がないのが大前提です。
だからこそ、「短くてもいいから、毎日続ける」ことが重要です。
15分だけでも良いので勉強時間を確保し、習慣化することが、英語学習で最も成果を出す方法です。
具体的な時間術・学習ステップ
まずはシチュエーションを決める
かなり具体的に決めるのが良いと個人的には考えています。
「今度のプレゼンで伝える内容」
「午後のミーティングでの進捗報告」
「来週のプロジェクトの納期交渉」
こうした具体的なシーンを想定することで、「何を伝えるのか」という目標が明確になり、隙間時間でも学習できるようになります。
学習の目標は小さく区切る
シチュエーションが具体的になれば、使う表現も自然と絞られてきます。
「この場面で使うフレーズだけ覚える」「この場面でこれだけは言えるようにする」という具合に学習の目標を小さく区切ることが可能になります。
これは隙間時間学習を可能にする上で非常に重要なポイントです。
毎日15分、スマホで完結する学習習慣を作る
30代はとにかく時間が限られています。だからこそ、
「時間がないからできない」のではなく、
「時間がないからこそ続けられる方法を選ぶ」ことが大切です。
最近ではAI英会話アプリを使い、自分で学びたいシチュエーションを設定しながら練習することも可能です。数分でも口を動かして話す練習を続けることが、話せるようになるための近道だと感じています。
まとめ:やらないことを決める
「やらないことを決める」という視点が、30代からの英語学習を続ける上で非常に大切です。
完璧な発音を目指さない、文法は最低限に絞る、使う場面を限定する、短時間でも継続する――
この“割り切り”が、30代からでも英語を使えるようになるための鍵になります。
ただし、ここで大事なのは “割り切る=捨てる”ではなく、“優先順位をつけてストックを貯める”ことだという点です。
仕事でも、小さく分割したタスクをコツコツ進めていくうちに、いつの間にか大きなプロジェクトを回せるようになった経験があるのではないでしょうか。
英語学習も同じで、小さな成果を積み重ねることが、最終的に大きな力に変わっていきます。
発音も最初は優先順位は高くありませんといいましたが、慣れてくると、
- スムーズに話す
- 重要な部分を強調する
- 重要でない部分はさらっと流す
といったことが自然にできるようになり、結果的に“ネイティブらしい話し方”に近づいていることを感じられる瞬間が出てきます。
つまり、小さな成果を積み上げながら、大きな目標へとつなげていく。
これが、30代からの英語学習を続け、成果を出し、最終的な理想に近づく現実的な方法です。
割り切りが重要であることは間違いありません。
しかし、“割り切る”というのは「目標を諦める」ということではなく、あなたが持つ最終イメージに近づくために、今できることから一つずつ行動する姿勢を持つことだと思います。
なぜなら、その最終イメージこそが、あなたが学習を続けるモチベーションの源だからです。
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