アメリカ ニューヨーク 4人家族の一か月の生活費(2025/4)

アメリカ・ニューヨークでの実際の生活費についてまとめてみました。2025年の為替相場は1ドル=150円前後を行き来しており、年明けには一時160円近くまで上昇しましたが、春以降は145円を下回る場面も見られました。為替の動きによって、日本円に換算した金額は多少変わってきますが、今回はこの為替感覚も踏まえつつ、家賃・食費・光熱費・医療費・保険料・税金など、我が家(4人家族)のリアルな一か月の支出を紹介していきます。これからニューヨークでの生活を考えている方や、現地の物価感を知りたい方の参考になれば幸いです。

金額(ドル)補足
家賃2,300良心的な値段
食費1,400一般的な費用
電気代150一年を通して平均的な費用。冬だと50-100ドルくらい増加することもある。
水道代0家賃に含まれる。
ガス代150一年を通して平均的な費用。
通信費100ほぼ固定
医療費300月によって大きく変動するが、大体数百ドルかかることを想定している。
合計4,400この金額に娯楽費などが上乗せされるイメージです。
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結局ニューヨークで生活するにはいくら必要なのか?

結論から言うと、「いくらあっても足りない」 というのが正直なところです。ニューヨークは家賃をはじめ、食費・交通費・医療費・サブスクリプション・チップ文化など、あらゆる場面で支出がかさみます。そして何よりも、支出の変動が非常に大きい という特徴があります。

たとえば医療費ひとつ取っても、ちょっとした検査や救急搬送だけで数千〜数万ドル単位の請求が来る可能性があります。これがアメリカ生活の最大のリスクとも言えるでしょう。

感覚的には、年収$100,000(約1,500万円弱)でも決して贅沢な暮らしではない という印象です。むしろ、家族で安定した暮らしを送るには最低でもこのくらいは欲しい、という水準に近いと思います。

あくまで個人的な感覚ですが、日本円に直すと 日本で年収600〜750万円くらいの生活感覚 に近いのではないかと感じます。もちろん、住むエリア、家族構成、ライフスタイルによって必要額は大きく変わりますが、いずれにせよニューヨークは「収入が高くても常に支出の不安はつきまとう街」と言えるかもしれません。

以下では、具体的な支出について私の感覚で説明していきます。

家賃

家賃は3ベッドルームで2,300ドルです。ニューヨークの相場を考えると、かなり割安な部類に入ると思います。築年数はやや古いものの、部屋数が多く、家族で住むには十分な広さがあります。物件は2階建てで、さらに地下室も付いていますが、私たちはそのうちの2階部分を借りています。1階と地下室部分にはオーナーのご家族が住んでおり、いわゆるオーナーシェアタイプの住宅です。オーナー家族が同じ建物内に住んでいるため、設備のトラブルなどもすぐに相談でき、安心感があります。またニューヨークの物件は、オーナーが投資目的で所有しているケースも多く、物価の上昇にあわせて毎年家賃を値上げされることも珍しくありません。しかし、私たちのオーナーはここ数年家賃を据え置いており、とても良心的です。

ちなみに、日本では賃貸情報に「3LDK」や「○○平米」といった表記がよく使われますが、アメリカでは「3ベッドルーム」など、主にベッドルームの数で表記されるのが一般的です。キッチンやリビングルームは基本的にどの物件にも付いているのが当たり前と考えられているので、特に表記されないことが多いです。

食費

四人家族の一か月の食費は約1,400ドルです。外食代は含めていません。円換算すると20万円を超えるため一見高く感じますが、アメリカの物価水準を考えると平均的な金額だと思います。ただし、後述する外食費まで含めて食費と考えると、かなりの出費になります。以下にニューヨークの一般的な商品価格の例を示します。

食費の目安:ニューヨークの一般的な食品価格

食品価格(目安)備考
牛乳(1ガロン:約3.8L)$4.00〜$5.00日本よりかなり大きいサイズ
卵(1ダース)$3.00〜$5.00ブランドやオーガニックで変動
食パン(1斤)$3.00〜$4.00安いセール品で$2以下もあり
鶏胸肉(1ポンド:約450g)$4.00〜$6.00オーガニックはさらに高い
牛ひき肉(1ポンド)$5.00〜$8.00脂肪率によって価格差あり
白米(5ポンド:約2.3kg袋)$5.00〜$10.00日本産米はもっと高価
バナナ(1ポンド)$0.60〜$0.80比較的安い果物
りんご(1ポンド)$1.50〜$3.00品種により幅広い
ブロッコリー(1ポンド)$2.00〜$3.00
レタス(1玉)$2.00〜$3.50
ミネラルウォーター(24本入りケース)$4.00〜$6.00
コーラ(2リットル)$2.00〜$3.50セールで$1.50前後も

ひとことコメント

  • 野菜や果物は全体的に日本より割高(特に新鮮さを重視すると高くなる)
  • 肉・卵・牛乳はアメリカらしく量が多く、やや安い
  • 外食に比べると自炊はかなり節約になる

光熱・通信費(電気代、水道代、ガス代、通信費)

光熱費と通信費は合わせて月に約400ドルです。内訳は、ガス代が約150ドル、電気代も約150ドル、通信費が合計で100ドル程度です。水道代は家賃に含まれています。私の住んでいる家はオーナーシェアタイプで、1階と2階で水道の使用量を分けることができないため、オーナーが水道代を一括で支払い、その分が家賃に含まれています。

医療費

医療費は月によってかなり差がありますが、参考までに4月は約300ドルかかりました。主な原因は子供の虫歯治療です。アメリカでは虫歯治療の費用が数千ドルにのぼることも珍しくありませんが、保険が適用されたことで自己負担は約700ドルになりました。これを2〜3か月に分けて分割で支払っています。ちなみに、以前風邪で病院にかかった時も数百ドルの請求がありました。アメリカでは、ちょっとした通院でも数百ドルはかかると考えておく必要があります。

その他

このほかにも実際には、交通費・外食費・保険料・税金などの支出があります。交通費については会社が負担してくれているため、ここでは計上していません。外食費は人によってかなり差があるため、今回の家計では「その他」として扱いました。また、保険料や税金については給与から天引き(控除)されているため、こちらも「その他」として後ほどまとめて記載します。

交通費

ニューヨークの地下鉄(Subway)の運賃は、一回の乗車につき一律2.90ドルと固定されています。日本のように乗車距離によって運賃が変わる仕組みとは異なり、非常にシンプルです。物価全体が上昇する中でも、交通費の値上げは比較的ゆるやかに行われています。以下に2000年以降の運賃の推移を示します。

通常片道運賃7日無制限乗車券30日無制限乗車券
2000年〜2003年5月$1.50$17$63
2003年5月〜2009年2月$2.00$17〜$24$70〜$81
2009年6月〜2010年$2.25$25–$27$89
2012年12月〜2013年$2.50$30$112
2015年3月$2.75$31$116.50
2017年3月– (unchanged)$32$121
2019年4月– (unchanged)$33$127
2023年8月$2.90$34$132

外食費

アメリカの外食費は、物価の違いを考慮しても日本より高いと感じます。特にチップ文化は日本にはない習慣なので、これが加わることで余計に高く感じることもあります。ただ、生活するうちに次第に慣れてきます。一般的に、1回の外食で数百ドルかかることも珍しくありません。我が家は比較的リーズナブルなレストランをいくつか見つけており、よく利用していますが、それでもチップ込みで一度の食事がだいたい200ドル前後になります。

保険代

保険料は給料から天引きされており、月におよそ500ドル程度かかっています。普段はそこまで医療機関を利用しないため、高く感じる方もいるかもしれませんが、アメリカの医療費は高額になることが多く、大きな手術や入院では数万ドル以上かかるケースもあります。実際、医療費が原因で破産に至る人も少なくありません。そのため、医療保険は非常に重要であり、まさに「備え」として必要不可欠な存在だと感じます。

税金

アメリカでは、日本のように会社がほとんどすべての税金を計算・徴収してくれるわけではなく、基本的には「自己申告(タックスリターン)」が必要です。ただし、毎月の給与から概算で税金が天引き(Withholding)されており、年末に精算を行う形になります。

ニューヨークでかかる主な税金

ニューヨークで働く場合、大きく分けて以下の税金がかかります。

  1. 連邦所得税 (Federal Income Tax)
  2. 州所得税 (New York State Income Tax)
  3. 市所得税 (New York City Income Tax)
  4. 社会保障税 (Social Security Tax)
  5. メディケア税 (Medicare Tax)

実際の税額イメージ(例)

仮に年収が10万ドル(約1,550万円 ※1ドル=155円換算)だった場合を例に計算してみます。

税目概算税率年間の税額(概算)
連邦所得税約18〜22%約20,000ドル
州所得税約5〜6%約5,500ドル
市所得税約3〜4%約3,500ドル
社会保障税6.2%6,200ドル
メディケア税1.45%1,450ドル
合計〜37%前後約36,650ドル

※実際は所得控除や扶養控除、医療費控除などがあるため、もう少し変動します。

手取り額のイメージ

仮に10万ドルの年収でも、税金と社会保険料を差し引くと実質的な手取りは 約63,000ドル前後(年間)、月額にすると 5,200ドル前後 になるイメージです。
この中から、家賃・食費・光熱費・保険料・医療費などをまかなっていくことになります。

ニューヨーク市民の感覚

ニューヨークはアメリカの中でも特に税負担が重い都市の一つと言われます。ただ、その分インフラや公共サービス、治安、教育機関などが比較的充実しているという声もあります。生活コストは高めですが、その分給与水準も高く設定されている傾向があります。

意外な出費

以上がアメリカでの一般的な生活を想定した場合の出費です。

アメリカのチップ文化

日本ではなじみがありませんが、アメリカでは日常生活の中でチップ(サービス料)を支払う場面がたくさんあります。これはニューヨークで生活する上でも意外と大きな出費になります。以下は代表的なチップの例です。

サービス内容チップの目安備考
レストラン(フルサービス)18〜20%税抜き金額に対して計算されるのが一般的
カフェ・テイクアウト0〜10%必須ではないがチップ用の端末が用意されていることが多い
タクシー・ライドシェア(Uber等)10〜20%乗車アプリ上で支払うことが多い
ホテルのベルボーイ1〜2ドル/荷物1個荷物を部屋まで運んでもらった場合
ルームサービス15〜20%すでにサービス料込みの場合もあるので要確認
美容室・ネイルサロン15〜20%施術料金の総額に対して
配達サービス(フードデリバリーなど)10〜20%アプリ経由で支払うことが多い

ポイント:

  • チップを払わないと失礼と受け取られる場面も多い
  • 現金ではなく、クレジットカード端末で支払うのが主流
  • 特にレストランでは「税抜き金額に対して」「20%近く」が一般的

たとえば、レストランで 50ドルの食事 をした場合は:

  • 税抜き:50ドル
  • チップ(20%):10ドル
  • 合計支払い:60ドル

こういった積み重ねで、思ったよりも生活費が高く感じる要因の一つになっています。

面白いのが、中国系のレストランやカフェ、パン屋さん。こうしたお店では チップを払わなくても失礼に思われないことが多い です。さらに、なぜか全体的に価格も割安に感じます。理由ははっきりとはわかりませんが、

  • 元々チップ文化が薄い国の影響
  • 回転率が高く薄利多売のビジネスモデル
  • 現金払い中心のお客さんが多い文化

…などが関係しているのかもしれません。

実際、私もよく中国系のレストランやカフェ、パン屋さんを利用していますが、普通においしくて、値段も手頃、チップも不要で気楽 ——ということで、地元の人でも愛用している人は多いです

サブスクリプション料金:日本とアメリカの微妙な違い

アメリカ生活では、サブスクリプション(定額サービス)も日々の出費の一部です。ただし、日本と比べると、意外に高いもの・安いものが混在しています。

サービス名アメリカの料金(参考)日本の料金(参考)備考
Amazon Prime約 $14.99/月約 600円/月日本に比べ約2倍以上。ただし、配達スピードはかなり速い
Netflix(単体契約)約 $15〜23/月約 990〜1980円/月アメリカの方がやや高め
Apple Music約 $10.99/月約 1080円/月ほぼ同水準
YouTube Premium約 $13.99/月約 1,280円/月アメリカの方がやや高い

面白い仕組み:Netflixが携帯に含まれる

アメリカでは、Netflixの利用料が 携帯キャリアのプランに含まれる こともよくあります。たとえば、T-Mobileの上位プランではNetflixが自動で付帯します。携帯契約を続けている限り、特に別途支払いをしなくてもNetflixを使い続けることができます。

こうした「セット売り」が多いのもアメリカならではの特徴です。日本ではあまり見かけない仕組みですね。


サブスクは「塵も積もれば山となる」

こういった月額サービスがいくつも重なると、毎月の出費の中でもじわじわ効いてくる項目になります。実際、在米日本人でも「気づくとサブスク代だけで結構な金額に…」という声はよく聞きます。

洗濯代も意外な固定費

実は私が住んでいるような オーナーシェア型の賃貸物件(大家さんの家の一部を借りるタイプ)では、室内に洗濯機が付いていないことも珍しくありません。アメリカではこういった賃貸形態も比較的一般的です。

そのため、コインランドリーを利用する洗濯代 も生活費として計算に入れる必要があります。
たとえば、4人家族の場合、月に約50ドル程度の洗濯代がかかるイメージです。洗濯機・乾燥機ともに1回ごとに数ドルかかり、これが積み重なっていきます。

移動手段:Uberの利用と費用感

ニューヨークでは地下鉄が発達していますが、Uber(配車サービス) も日常的に利用されています。特に雨の日、夜遅い時間、荷物が多いときなどはとても便利です。

大体の料金感

距離・シチュエーション目安料金(チップ前)備考
近距離(2〜3マイル、市内移動)$15〜$25渋滞や需要で変動あり
ミッドタウン → JFK空港$70〜$100空港送迎料金・ピーク時は高騰
長距離(郊外まで)$100〜時間帯・交通状況次第

チップ文化も忘れずに

アメリカではUberにもチップを支払うのがマナーとされています。アプリ上で乗車後に簡単に選択でき、多くの人が 10%〜20%程度 をチップとして加えます。たとえば、$30の乗車ならチップを入れて$33〜$36程度の支払いになります。

注意ポイント

  • 需要と供給で料金が大きく変わる(特に雨・イベント時は高騰しやすい)
  • 空港送迎は定額ではない(タクシーは定額制があるがUberは変動)
  • 現金不要・アプリで完結(支払い・チップもアプリ内)

まとめイメージ

日本よりもやや高めで、さらにチップも必要。ただし使い勝手はとても良い。

理髪代:思ったより高いアメリカのヘアカット事情

アメリカでは 理髪代も日本より高め で、さらにここでもチップ文化がしっかり存在します。

大体の料金感(ニューヨークの場合)

サービス内容目安料金(チップ前)備考
メンズカット(シンプルなカットのみ)$30〜$50ローカルの床屋・チェーン店
美容院でのカット(カット+シャンプー等)$60〜$100店の立地や人気によって差が大きい
子ども用カット$25〜$40比較的リーズナブル
カラー・パーマなど$100〜内容次第でかなり高額に

チップも必要

アメリカの理美容では 15%〜20%程度のチップ が一般的です。たとえば、カット代が$50なら、チップ込みで支払いは $57〜$60 くらいになります。

まとめイメージ

  • 日本に比べると全体的に割高
  • チップも別途必要
  • ただし「話しながらカットする」「フレンドリーな雰囲気」などはアメリカらしい文化

まとめ

ニューヨークの生活費は、日本に比べると全体的に高めですが、実際に暮らしてみるとその背景や仕組みも少しずつ見えてきます。特に医療費や保険料、税金など、日本とは大きく違う点も多くあります。一方で、給与水準や教育環境、街の活気など、ニューヨークならではの魅力もたくさんあります。これから移住を検討している方は、ぜひ現地の生活費を事前に把握して、無理のないプランを立てることをおすすめします。

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