マンハッタンを中心に、家賃補助が出る駐在員は北へ、家賃補助が出ない現地採用組は南へ住む傾向があると思います。実際、ニューヨークで暮らしていると「家賃高すぎる!」と感じる場面は多く、その中でどこに住むかは本当に重要な問題です。また、都心に近いエリアであればあるほど、オーナーが投資目的で賃貸物件を保有していることが多く、家賃の上がり方も桁違いです。そのことからも、家賃を安く済ませるにはニュージャージー、クイーンズ、ブルックリンが選択肢に入ります。今回はそのあたりを踏まえつつ、現実的に家賃を抑えながら暮らしやすい場所を、この三拠点を中心に紹介していこうと思います。
はじめに:ニューヨーク家賃高すぎ問題
ニューヨーク、特にマンハッタンの平均家賃は月4,000ドルを超えるのが現実です。マンハッタンに住むと通勤や生活の便は確かに良いのですが、その家賃の高さには腰を抜かします。また、冒頭でも触れたように、投資目的で物件を保有するオーナーも多いため、「1年で数百ドルも家賃が上がった」という話も珍しくありません。
日本から来たばかりの頃は、給料に対する家賃の割合の高さに戸惑い、不安を感じることも多いと思います。私自身も実際にそうでした。ただ、ニューヨークでは日本よりも給料に対する家賃の負担が大きいのは避けられない現実であり、ここは覚悟しておく必要があります。
しかし、「どこに住むか」を工夫するだけで、その負担は大きく変わります。確かに「通勤圏内であること」は重要な条件ですが、アメリカ人の通勤圏内の感覚と日本人の感覚は少し異なります。日本では電車通勤が一般的であり、「遠い」と思われる場所でも、実は日本人の感覚では十分に許容できる距離であることが多いのです。
こうした点を踏まえると、ニュージャージー、クイーンズ、ブルックリンは家賃を抑えながらニューヨークで快適に暮らす現実的な選択肢となり得ます。
家賃補助で北へ、補助なしで南へ向かう駐在員・現地採用の動き
駐在員(家賃補助あり):
家賃補助が出る場合、マンハッタン内やアッパーウェスト、アッパーイースト、ウェストチェスター方面(北)へ住む傾向があると思います。
通勤時間を短くしつつ、治安と環境を優先したいなら、このあたりは確かに魅力的です。
私もニューヨークに来た当初、家賃相場の感覚がよくわからず「せっかくだし住んでみようかな」と思って実際に駅で降り立ったことがありました。ただ、その駅に着いた瞬間、「あ、これは高いな」と肌で感じました。
閑静な住宅街には個人経営のおしゃれなカフェがあり、道を歩けば映画で見たような大きな庭付きの家、手入れの行き届いた街路樹、きれいな学校。街の空気感そのものが穏やかで、「あ、ここは住めないな」とすぐに思ったのを覚えています。
会社が家賃補助を出してくれる駐在員の場合、安全性や住環境を優先し、こうしたエリアに住めるよう補助額を調整してくれることが多いため可能ですが、家賃補助が出ない場合は、正直このあたりに住むのは現実的ではないと感じます。
現地採用(補助なし):
家賃補助が出ない場合、マンハッタンの家賃はあまりに高すぎるため、ブルックリン・クイーンズ・ニュージャージー方面(南・東・西)へ住む流れが自然だと思います。
こうしたエリアに行くと、かなり地元感あふれる雰囲気に変わります。家と家の間隔は狭く、庭も決して広くはありませんが、日本で都心近くのマンションに住んでいたことを考えれば「別にこれで十分じゃないかな」と思えます。
それに、アメリカは騒音に対する許容度が高いので、日本のように「生活音がうるさい」といった住民トラブルが起きにくいのも地味に助かるポイントです。多少隣の音が聞こえたところで、お互い気にせず暮らしている人が多いので、「これはこれでいいな」と思えるようになりました。
家賃を抑えながら生活コストも下げる必要がある
最終的には、家賃だけでなく生活コスト全体をどう優先するかは人によると思います。
- 通勤時間を短くする代わりに家賃が高くなるのを受け入れるか
- 通勤時間を多少延ばしても、その分家賃を抑えて食費や趣味、貯金に回すか
ニューヨークで暮らす場合、このバランスをどこに置くかで生活の質が大きく変わります。私自身、「家賃を抑えるだけが正解じゃないけど、家賃が高すぎる生活は続かない」と思っているので、これから住む場所を選ぶ方には「どこに住むかで負担は変わる」ということを覚えておいてもらえたらと思います。
家賃を抑えつつ住みやすい3大選択肢
ニュージャージー(Jersey City / Hoboken / Journal Square)
ニュージャージーは「家賃を抑えつつマンハッタン通勤を実現したい人」にとって最有力の選択肢です。
PATHを使えばマンハッタンまで15〜30分でアクセス可能で、家賃はマンハッタン比で$500〜$1,000安くなることが一般的です。
特にJersey Cityのウォーターフロント周辺は治安も比較的安定しており、カフェやスーパーも充実。Hobokenは若者や家族世帯に人気が高く、小規模なお店や公園が多いため週末も過ごしやすい街です。Journal Square周辺はさらに家賃を抑えたい人に向いており、生活コスト全体を下げやすい点も魅力です。
クイーンズ(Astoria / Sunnyside / Woodside)
「マンハッタンの利便性は保ちつつ、落ち着いた雰囲気で暮らしたい」方におすすめなのがクイーンズです。地下鉄を使えばマンハッタンまで15〜30分程度で通勤可能で、家賃相場は$1,800〜$2,500程度と比較的現実的な水準に収まります。
Astoriaは飲食店の多さと活気のある雰囲気で人気が高く、ギリシャ料理や多国籍の食文化を楽しめます。Sunnysideは落ち着いた住宅街で日本人にも住みやすく、生活費が抑えやすいのも特徴。Woodsideはアジア系スーパーやレストランが多く、外食費や食料品費を節約しやすい点で生活コストを下げるのに適したエリアです。
ブルックリン(Bushwick / Sunset Park / Bay Ridge)
ブルックリンは**「家賃を抑えつつニューヨークらしい個性を感じながら暮らしたい人」にぴったり**のエリアです。マンハッタンへは地下鉄で30〜45分程度でアクセス可能で、ルームシェアなら$1,000台、1BRでも$2,000台から物件を探せることが魅力です。
Bushwickはアートやストリートカルチャーが根付いており、個性的なカフェやギャラリーが並びます。アーティスティックな雰囲気が好きな人には最適な選択肢です。Sunset Parkは中華系・ラテン系の文化が混ざり合う街で、比較的広めの物件が安価で見つかることもあります。Bay Ridgeは海沿いの落ち着いた街並みで治安が安定しており、家族世帯にも住みやすいエリアです。
補足:3拠点の選び方のポイント
通勤時間 vs 家賃のバランス
多少通勤時間が伸びても月$500〜$1,000節約できるなら、その分を生活費や貯蓄に回すことが可能。
周辺の生活環境
スーパー・ランドリー・公共交通機関へのアクセス、夜間の治安も含めて「生活のしやすさ」で比較するのがおすすめ。
シェアか単身か
ルームシェアを活用することで更に家賃を抑えられる場合も多く、ニューヨークの生活コスト削減に直結します。
このように【ニュージャージー・クイーンズ・ブルックリン】には家賃を抑えつつ住みやすいエリアが多くあります。「家賃高すぎる」と悩む方は、一度視野を広げてエリアを見直すだけでニューヨーク生活が一気に楽になります。
まとめ:ニューヨーク家賃高すぎるからこそ「場所」で差をつける
ニューヨークで暮らしていると「家賃高すぎるな…」と感じる瞬間は本当に多いと思います。ただ、そのときに大事なのは「どこに住むか」で負担は大きく変わるということです。
駐在員で家賃補助があるなら、通勤時間を短くできる北側のエリア(マンハッタン内やアッパーウェスト、アッパーイースト、ウェストチェスター方面)を選ぶのが自然な流れだと思います。安全で環境も良く、家族連れでも住みやすいエリアです。
一方で、現地採用で家賃補助がない場合、無理に家賃の高いマンハッタンにこだわる必要はないと思います。ニュージャージー・クイーンズ・ブルックリンといった南・東・西のエリアは現実的な家賃軽減策になり得ますし、実際私自身、こうした選択肢を知ってから「住む場所次第で生活はここまで変わるんだな」と感じました。
「ニューヨークで暮らすならマンハッタン」という固定観念を捨てるだけで、家賃だけでなく生活そのものがずいぶん楽になります。家賃が高すぎると感じたら、一度立ち止まってエリア選びを見直してみることをおすすめします。
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