多読でどんな本を読めばいいか悩んでいませんか?
英語力を伸ばしたいけれど、ビジネス書も読みたい――でも両方を読む時間はなかなか取れない。そんなあなたに朗報です。良書であれば、英語でもビジネス書を楽しみながら学ぶことができます。
しかも、英語力アップだけでなく、世界の「本当の姿」を知ることができる本があるのです。
『FACTFULNESS』とは?
『FACTFULNESS』は、スウェーデンの医師・公衆衛生学者であり統計学者でもあった ハンス・ロスリング(Hans Rosling) の著書です。
ハンス・ロスリングは TEDでの講演が大きな話題となり、数百万回以上の再生数を記録したことでも知られています。彼のプレゼンはテンポがよく、ジョークを交えながらデータで世界をわかりやすく解説するスタイルが特徴的でした。
この『FACTFULNESS』も、そんな彼の講演のように リズムよく、読みやすく、データをもとに世界の姿をわかりやすく解き明かしてくれる本です。
「世界は思っているよりずっと良くなっている」というメッセージを、データに基づいて示してくれるこの本は、英語は少し挑戦的ですが、多読に慣れたい学習者には最適です。英語学習だけでなく、視野を広げる学びも同時に得られるので、多読の一冊にぜひ加えてみてください。
本書で特に面白かったセクション: 「分断本能(The Gap Instinct)」
『FACTFULNESS』の中で特に印象的だったのが 「分断本能(The Gap Instinct)」 についての章です。
私たちは無意識のうちに、
「世界は豊かな国と貧しい国に二分されている」
と思い込みがちですが、実際にはほとんどの人々はその間に位置する 「中間層の生活レベル」で暮らしています。
著者のハンス・ロスリングは、教育水準・健康水準・所得水準のデータを使って「世界は二極化している」という見方が間違っていることを示しています。
例えば、
- 赤ちゃんの死亡率の推移
- 国ごとの収入レベルの分布
などの具体的なデータを示しながら、多くの国が中間層に移行してきていることを解説しています。
私たちは「分断された世界」という古いイメージを持ち続けていますが、それは現実とは大きなギャップがあるのです。
この章から学べること
- 思い込みを捨て、データをもとに現実を見る習慣を持つことの大切さ
- 多くの国で生活水準が向上しており、「貧困」と「裕福」の二分だけで語るのは間違いであること
- ニュースで目にするセンセーショナルな情報だけで世界を判断しないこと
本書で特に面白かったセクション: 「パターン化本能(The Generalization Instinct)」
もう一つ面白かったのが 「パターン化本能(The Generalization Instinct)」 についての章です。
私たちはつい、
「一つの例」や「小さなサンプル」から 全体を決めつけてしまうクセがあります。
「あの国の一部がこうだから、きっとあの国全体もそうだろう」と 安易にパターン化して誤解することはよくあります。
本書で紹介されている具体例
例えば、
「アフリカはすべて貧しい」という思い込み
実際には国によって状況は大きく異なり、教育・健康・所得水準の高い国も多く存在しています。
カテゴリー化は便利ですが、正確なデータを伴わなければ誤解につながるということをハンス・ロスリングは具体例を使って丁寧に解説しています。
この章から学べること
- 「彼らは〇〇だ」という思い込みを疑うことの大切さ
- 世界を正しく理解するには、国・地域・人をひとくくりにせず、データを見る習慣を持つこと
- 多様性と変化を理解することが誤解を防ぐカギになること
内容だけ見ると難しそうに思えるかもしれませんが、著者のハンス・ロスリング自身もスウェーデン出身で英語ネイティブではありません。
そのため本書も平易な文章でテンポよく書かれており、英語学習者の多読にもぴったりです。
「難しい内容なのに読みやすい」というのは、まさに良書の証拠だと感じました。
『FACTFULNESS』を多読におすすめする理由
『FACTFULNESS』は英語多読にとてもおすすめできる一冊です。その理由を3つのポイントで紹介します。
興味深い具体例で引き込まれる
これまでのセクションでも紹介したように、本書では「私たちが思い込んでいる意外な勘違い」をさまざまなデータを用いてわかりやすく解説しています。
例えば、
- 恐怖本能(恐ろしいものに注目しすぎる)
- 直線本能(物事が直線的に進むと思い込む)
など、私たちが日々のニュースや情報で無意識にしてしまう誤解を、ユニークで具体的な統計データを使って解き明かしてくれます。
背景知識がなくても理解できるよう工夫されており、「へぇ!」と思いながらどんどんページをめくれるのが特徴です。
難しい単語も繰り返し登場するので覚えやすい
内容は統計やデータに関する話が中心のため、英語の中級学習者にとっては少しチャレンジングな単語が出てきます。
しかし、本書では同じテーマや単語が繰り返し出てくるため、知らない単語も自然と覚えられるのが大きなメリットです。
多読で大切なのは辞書を引きすぎず、文脈で意味を推測しながら進めることですが、本書は繰り返しの力で英単語を体に刷り込むことができる一冊です。
世界の見方が変わり、モチベーションが上がる
何よりも大きな魅力は、「多読のために読書をする」のではなく、「純粋に読書を楽しめる」ことです。
読み進める中で、これまでの世界の見方が変わり、もっと知りたい・学びたいという気持ちが自然と湧いてくるため、英語学習のモチベーションを高めることにもつながります。
読後には「読んでよかった」と心から思える本であることが、多読用の一冊として強くおすすめできる理由です。
多読のコツ(『FACTFULNESS』で試せるポイント)
『FACTFULNESS』を使って多読をするときは、以下のコツを意識すると挫折せずに最後まで楽しく読み切ることができます。
辞書を引きすぎない
英語の多読で大切なのは、辞書を引きすぎないことです。
『FACTFULNESS』のような良質なノンフィクションは、章ごとの要約がわかりやすく書かれており、わからない単語があっても要点が理解できる構成になっています。
完璧に理解することを目指さず、文脈から意味を推測しながら読み進めることを大切にしましょう。
大筋をつかむことを優先する
内容の細かい部分がわからなくても、大筋をつかむことを意識して読むと読書がぐっと楽になります。
『FACTFULNESS』はデータと具体例を交えながら全体の流れを追いやすく、多読で大筋をつかむ練習に最適な一冊です。
気になったフレーズだけメモする
読書中にすべての単語や表現を書き留める必要はありません。
「これは使えそうだ」「面白い表現だな」と思ったフレーズだけを気軽にメモする程度で十分です。
読後に振り返ると、自分の興味や理解のポイントが整理でき、復習にも役立ちます。
1日10ページを目安に読む
一度にたくさん読もうとすると続かなくなることがあります。
「1日10ページ程度を目安」に毎日少しずつ読む習慣を作ることで、多読を継続しやすくなります。
『FACTFULNESS』は各章がコンパクトにまとまっているので、10ページずつ読んでも内容が途切れにくく、無理なく進められる点もおすすめポイントです。
この4つのコツを意識して読み進めるだけで、『FACTFULNESS』は英語力アップだけでなく、世界の見方が変わる体験を与えてくれる多読の良書になります。
まとめ
いかがでしょうか。
ビジネス書は内容が難しく、英語で読むとなるとさらにハードルが高く感じることも多いですよね。その中で良書を見つけるのは簡単ではありません。
しかし、『FACTFULNESS』については心からおすすめできる一冊です。
もし内容が少し難しく感じたとしても、ハンス・ロスリングがTEDで行った講演動画(視聴無料)を見てから再度読み直すことで理解が深まり、より楽しめます。
この本自体は最新の本というわけではありませんが、内容は時代を超えて価値のある普遍的なテーマです。
「世界をデータで見る面白さ」を体験しながら、多読の一冊として挑戦してみてはいかがでしょうか。
読んで損のない本だと自信を持って言えます。
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