英単語の勉強をしていると、
「これ、本当に必要なの?」と思ってしまうような、見慣れない単語に出会うことがあります。
実際、英語の語彙頻度データベース「wordfreq」で検索すると、
100万語読んでも1回も出てこないような単語も珍しくありません。
でも──
そんな“見かけない単語”こそ、TOEICでは出まくるんです。
たとえば…
- obligate(〜に義務を負わせる)
- purser(客室係)
- restatement(言い直し、再表明)
…どれもwordfreqでは極めて低頻度。
でもTOEICにおいては、契約文書、機内アナウンス、会議の発言などでよく登場します。
つまりこういうことです:
「日常ではレア」でも「TOEICでは常連」。
こうした単語を見落としていると、リスニングやリーディングで「えっ、なにこれ?」となりかねません。
このあと、具体的な単語リストとともに、「なぜ出るのか」、「どうやって探すのか」を紹介していきます。
一覧:日常では見かけないのに、TOEICではよく出る英単語
以下の表は、英語の語彙頻度データベース「wordfreq」による出現頻度が非常に低い(レア)にもかかわらず、TOEICでは頻出語として知られている単語たちです。
単語 | 品詞 | 意味 | 日常での頻度(wordfreq推定) | TOEIC Tips |
---|---|---|---|---|
recur | 動詞 | 再発する、繰り返す | 220万語に1回程度 | “Recurring payment(定期支払い)”など。billing系で注意。 |
devastate | 動詞 | 壊滅させる、打ちのめす | 240万語に1回程度 | 自然災害・会社の損失ニュースで使われる。文脈判断に重要。 |
obligate | 動詞 | 〜に義務を負わせる | 270万語に1回程度 | “be obligated to do” は契約・通知文で頻出。compelと同義。 |
purser | 名詞 | 客室係(特に航空機や船の) | 400万語に1回程度 | 空港・機内アナウンス関連で登場。職種問題に注意。 |
restatement | 名詞 | 言い直し、再表明 | 430万語に1回程度 | “summary”や”clarification”の言い換えで出る。 |
misplace | 動詞 | 置き忘れる、なくす | 520万語に1回程度 | ListeningやPart 2で物の所在を問う問題に。 |
accustom | 動詞 | 〜に慣れさせる | 870万語に1回程度 | “be accustomed to” の形で熟語問題に出る。 |
economize | 動詞 | 節約する | 1,000万語に1回程度 | “cut back”や”save money”のパラフレーズで。 |
distractor | 名詞 | 誘導選択肢、引っかけ | 1,700万語に1回程度 | TOEICの選択肢戦略でも重要。公式解説にも出る。 |
misidentify | 動詞 | 誤って識別する | 3,700万語に1回程度 | Listeningの混乱シーンや会話の言い直しで出ることあり。 |
📌 出現頻度の目安について
日常会話や一般文章ではほとんど出現しないレベルの単語ばかり。
にもかかわらず、TOEICでは文脈判断、熟語表現、職業知識などでよく狙われます。
なぜこうした単語がTOEICでよく出るのか?
「日常ではほとんど見かけないのに、TOEICでは頻出」というこの現象──
実は、TOEICの試験設計そのものに理由があります。
TOEICは「ビジネス英語の試験」
TOEICは、日常会話ではなくビジネスシーンを想定した英語力を測るテストです。
出題される場面はこんな感じ:
- 請求書や契約書
- 空港・ホテルの案内放送
- 社内会議やプレゼン
- クレーム対応メール
その結果、「日常では使わないけど業務では必要」な単語が出る
たとえば…
シーン | 頻出語例(wordfreqではレア) |
---|---|
支払いの通知 | recur(再発する)→ recurring payment(定期支払い) |
契約の義務 | obligate(義務を負わせる) |
社内メールの表現 | restatement(再表明) |
空港の職種・職名 | purser(客室係) |
選択肢を見破るテクニック | distractor(引っかけ選択肢) |
日常生活ではあまり使わないけれど、TOEICの舞台では“必須語彙”となるわけです。
頻度だけに頼ると、TOEICでは通用しないことも
語彙頻度データベース(wordfreqやCOCAなど)はあくまで一般英語の統計。
TOEICはその枠から外れた語彙が意図的に狙われることがあります。
📌「頻度=重要度」ではない。
✨「使用シーンに合った語彙」が求められている!
どうやってこのリストを作成したのか?
「日常ではあまり見ないのに、TOEICではよく出る単語」──
今回のリストは、客観的なデータと信頼性の高い単語リストを組み合わせて作成しました。
ステップ①:wordfreqで「日常的な頻度」をチェック
wordfreqは、英語の膨大なコーパス(ニュース、Wikipedia、映画字幕など)から単語の出現頻度を統計的に算出しているデータベースです。
このデータから、各単語が日常英語でどれくらい登場するか(例:100万語中0.1回など)を調べました。
ステップ②:NGSLのTOEICサブリストと照合
TOEIC Service List (TSL) は、NGSL(New General Service List)プロジェクトの一部で、TOEICに特化して抽出された約1,200語の単語リストです。
このリストは以下の観点から構成されています:
- ETSの公式サンプル問題・教材に頻出
- TOEICのリーディング/リスニングパート両方をカバー
- 実務英語、契約、オフィス、交通、メール等を重視
ステップ③:2つのリストを照合して「ギャップ」を発見
- TOEICでは頻出(TSLに掲載)
- wordfreqではレア(頻度スコアが極めて低い)
この両条件に当てはまる単語を抽出したところ、“知っているだけでTOEICで有利になる語”が見えてきました。
📌 つまり、「実生活では出会わないけれど、TOEICでは得点源」になる単語です。
これこそ、効率よくスコアアップしたい学習者にとっての「狙い目ボキャブラリー」と言えるでしょう。
この他にも、まだまだあります。
今回ご紹介したのは、「wordfreqではレアなのに、TOEICでは頻出な単語」のほんの一部です。
TOEICでは、以下のような分野・状況に特化した語彙がまだまだ出題されます:
- オフィス・会議用語
- 契約・請求・納品に関する表現
- 空港・ホテル・交通手段に関する語彙
- 人事や採用、社内ルールに関する語句
こうした語彙は、一般的な語彙頻度リストでは上位に出てこないため、通常の単語帳や日常会話の中では出会いにくいものばかりです。
自分に必要な単語だけ見たい方へ!
そんなあなたのために──
「頻度」「品詞」「意味」「語源」「TOEIC頻出かどうか」などの観点で単語を自由に絞り込めるページを用意しました。
🎯 目的別に、あなただけの英単語リストを作ってみませんか?
最後にひとこと
「TOEIC対策」と「実生活での英語使用」は、重なる部分もあれば、大きく違う部分もあります。
だからこそ、TOEIC特有の語彙には戦略的にアプローチすることが大切です。
今回のように、「頻出だが見かけない単語」を意識的に拾っていくことで、スコアアップにもつながります。
あなたの英語学習が、より効率的で楽しくなりますように。
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