多読初心者にもおすすめ!やさしい英語で心に響く一冊『Eleanor Oliphant Is Completely Fine』

「英語の本を読んでみたいけど、どこから始めればいいの?」
そんな英語学習者にぴったりの1冊が、Gail Honeyman の『Eleanor Oliphant Is Completely Fine』です。

やさしい英語で書かれていながら、心にじんわり響く物語
多読初心者でも安心して読み進められる内容と文体で、英語力だけでなく読解力や感受性も育ててくれます。

Eleanor Oliphant Is Completely Fine』は、2017年5月18日にイギリスで初めて出版されたGail Honeymanのデビュー小説です。その優しい語り口と心に響くストーリーは、すぐに読者の心をつかみました。

英語圏では「up-lit」(心温まる作品)というジャンルを代表する本として、多くの読者に愛されています。

発売後すぐに話題になり、Reese Witherspoonのブッククラブに選ばれるなど、今でも海外で多くの学習者や読書ファンに支持されています

Table of Contents

本のあらすじ(ネタバレなし)


「私はこれで十分」

エレノア・オリファントは、一人で生きることに何の疑問も感じていません。
平日はオフィスで働き、週末は冷凍ピザとウォッカで過ごす日々。友達も恋人もおらず、職場でも孤立していますが、彼女はそれが「普通」で「完全に問題なし(completely fine)」だと思っています。


小さな出会い、大きな変化の予感

そんなある日、同僚のレイモンドと道で倒れた老人・サミーを助けたことで、少しずつ世界が動きはじめます。
エレノアはレイモンドと一緒に行動したり、サミーの家族と関わる中で、「人とつながる」ことの温かさを知っていきます。
その一方で、彼女はあるミュージシャンに一方的な憧れを抱き、彼に「ふさわしい自分」になろうと奮闘します。


理想と現実のギャップに飲まれて

彼に会いたい。その一心で外見を変え、コンサートにも出かけます。
でも現実は、彼女の想像とはまったく違うものでした。
期待が打ち砕かれ、エレノアの心は大きく揺らぎはじめます。
少しずつ築いてきた変化の手応えも、過去の記憶と混ざり合い、彼女を深い孤独の中へと引き戻していきます。


📖 「自分は本当に“完全に大丈夫”なのか?」
そんな問いが、エレノアの中で静かに芽生え始める——

このあと、彼女は“再生”へと向かえるのでしょうか?

読みやすさのポイント(英語学習者向け)

英語学習者の目線で、「この本のここが読みやすかった!」と感じたポイントをまとめてみました。多読に挑戦したい方の参考になればうれしいです。

語彙の難易度のバランスが良い

以下は本書に登場する英単語の一部です。英語学習として頻出ではあるものの、中には難しい単語も見受けられるかと思います。

本書『Eleanor Oliphant Is Completely Fine』は、一般的に「読みやすい英語の小説」として紹介されることが多いですが、実際にはTOEIC 900点台の学習者でも「ん?」と立ち止まるような中上級語彙や表現が登場します。

ただし、それこそがこの作品の魅力でもあります。
エレノアの知的かつ皮肉を交えた語り口や、心理描写の深さは、学習者にとって語彙力・読解力を同時に鍛える良いトレーニングになります。

多読の中で、こうした語彙に出会い、文脈で理解しながら自然に吸収していくことで、辞書で単語だけ覚えるのとは違った「記憶に残る語彙の定着」が期待できます。

英単語品詞意味(日本語)例文(簡単な英語)
adequate形容詞十分な、適切なHer salary was adequate for a simple life.
articulate動詞/形容詞はっきり話す/明瞭なEleanor is unusually articulate.
contempt名詞軽蔑、侮蔑She looked at him with contempt.
demeanor名詞態度、振る舞いHer quiet demeanor hides her sharp mind.
disdain名詞/動詞軽蔑/見下すEleanor often expresses disdain for small talk.
eccentric形容詞風変わりなPeople thought she was eccentric.
elaborate形容詞/動詞精巧な/詳しく述べるShe gave an elaborate explanation.
empathy名詞共感Raymond shows empathy toward Eleanor.
facade名詞外見、見せかけShe kept a calm facade, hiding her pain.
humiliation名詞屈辱The memory of humiliation still haunted her.
implore動詞懇願するShe implored him to leave her alone.
inadequate形容詞不十分な、力不足のShe felt inadequate in social settings.
inappropriate形容詞不適切なHer comment was considered inappropriate.
meticulous形容詞細かいところまで気を配るShe kept her home meticulously clean.
oblivious形容詞気づいていないShe was oblivious to others’ feelings.
patronize動詞見下すように扱うShe hated being patronized by strangers.
peculiar形容詞奇妙なEleanor had some peculiar habits.
perception名詞認識、理解Her perception of normal was quite different.
preposterous形容詞馬鹿げたThe idea was absolutely preposterous.
recluse名詞世捨て人、引きこもりEleanor was seen as a recluse by her colleagues.
reluctant形容詞気が進まないShe was reluctant to join social events.
reminisce動詞思い出を語るShe often reminisced about her childhood.
scrutinize動詞綿密に調べるEleanor scrutinized every detail.
solitary形容詞一人での、孤独なShe led a solitary life.
spontaneous形容詞自然発生的な、即興のRaymond was spontaneous, unlike Eleanor.
superficial形容詞表面的なShe avoided superficial relationships.
tedious形容詞退屈な、長ったらしいShe found conversations with strangers tedious.
trauma名詞心の傷、トラウマShe carries deep emotional trauma.
vulnerable形容詞傷つきやすい、もろいShe felt vulnerable when talking to others.
withdrawn形容詞引きこもった、内向的なEleanor was emotionally withdrawn.

会話文が多く、口語表現が身につく

本書の会話はとても自然で、生きた日常英語のリズムや言い回しを学ぶのにぴったりです。
英語の小説を読みながら、「実際に使える会話表現を学びたい」と感じることは多いと思いますが、『Eleanor Oliphant Is Completely Fine』はまさにその期待に応えてくれる一冊です。

口語表現意味使用例
“No worries.”「気にしないで」Raymond often says this casually.
“You all right?”「大丈夫?」イギリス英語の挨拶として登場
“Not really.”「そうでもない」否定を柔らかく伝える表現

主人公の独り言が多く、「思考表現」が学べる

エレノアの内面の語りが豊富なので、英語で「考え」や「気持ち」を表す表現を学ぶのにとても役立ちます。
たとえば、

“Why do people do that?”
 → 日常のちょっとした習慣(たとえば、誕生日にカードを送るなど)に対して、純粋に疑問を抱いている場面で登場します。彼女の「人間社会への違和感」をよく表しています。

“I suppose that’s acceptable.”
 → レイモンドのカジュアルな服装を見て、「まあ、ギリギリ許容範囲かな」と内心で判断する場面で使われています。皮肉まじりの語りがエレノアらしさを表しています。

“I must try harder next time.”
 → 人とのやり取りでうまく会話できなかったあと、自分に言い聞かせるように反省している場面です。

ユーモアがあるので飽きずに読める

エレノアのズレた常識素直すぎる発言は、ときにくすっと笑ってしまうユーモアにつながっています。皮肉や自嘲が効いたセリフは、英語表現の面白さを味わう良いきっかけになります。

  • “I once Googled ‘how to make friends.’”
     → 本気で「友だちの作り方」をGoogleで検索したと語る場面。笑ってしまう一方で、エレノアの孤独が垣間見える印象的な一言です。
  • “Is vodka a fruit?”
     → 「ウォッカって果物だったっけ?」と健康に気を使うふうを装いながら、毎晩の飲酒を正当化しようとする発言。
     エレノア特有の“ズレた理論”がユーモラスに表れています。
  • “Small talk is pointless and exhausting.”
     → 雑談の場面で、彼女が心の中でバッサリ切り捨てるように呟く一言。思わず「わかる…」と共感してしまう人も多いのではないでしょうか。

レベル感(参考)

『Eleanor Oliphant Is Completely Fine』は、英語学習中級者(CEFR B1〜B2)レベルにぴったりの一冊です。

  • 語彙や文法は比較的やさしめながら、内容は深くて読み応えがあります。
  • ペーパーバックで約390ページとややボリュームがありますが、
     1日10ページずつ読むと、1ヶ月で無理なく読破可能です。

毎日少しずつ、物語とともに英語に浸る習慣づくりにもおすすめです。

こんな人におすすめ

  • 英語の長編小説に初めて挑戦してみたい方
  • 多読に興味はあるけれど、何を読めばいいのか迷っている方
  • ドラマチックな展開よりも、じんわり心にしみる物語が好きな方
  • 英語で感情表現や内面描写を学びたいと考えている方

まとめ

『Eleanor Oliphant Is Completely Fine』は、やさしい英語と深いメッセージをあわせ持った、
まさに英語多読の第一歩にぴったりの小説です。

物語を通して、
「英語でも感動できる」
「英語で考えるとはどういうことかが少しずつわかってくる」
そんな体験が、きっと待っているはずです。

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